「8歳までの身体能力の高さは、後の理系の能力の高さに比例する」と言われています。
東大現役合格者への調査では、①早寝・早起き・朝ごはんが幼少時より徹底している、②身体能力が豊かである(陸上競技・球技・ダンスなど、いずれにしても、ある程度楽しめるだけの運動能力がある)の二つがあげられています。
これらの事実は、脳科学上、当然の帰結。運動センスを担当しているのは、小脳なのですが、この小脳、実に理系のセンス、ことばのセンス、芸術センスを下支えしていることがわかってきました。つまり、小脳は直感とつかみの器官として、あらゆるセンスに関わっているのです。
その小脳の発達臨界期は8歳です。つまり小脳は8歳までにその機能が完成してしまい、以後、目覚しい発達はかなわない、ということです。8歳までに絶対音感を獲得しないと、その後の獲得は難しいと言われているのも、この小脳の発達臨界に関わっています。
というわけで、小脳が8歳までに完成してしまうのなら、小脳は8歳までに鍛えてあげなければいけない。そして、小脳を鍛えるには、運動と音楽と生活の体験しかないのです。
8歳までに親がしてあげられることは、できるだけ多くの身体経験をさせてあげること。
自由遊び、スポーツに関わる経験、音楽に関わる経験、生活に関わる経験(工作、料理など)の4体験が不可欠です。
また、あらゆるトップアスリートや音楽家たちが、3~4歳で練習を始めていることにも、みなさんお気づきと思います。ヒトの脳は、3歳までは、いたずらのような自ら外界と関わる自主性が大事なので、恣意的に何かをさせることはあまり役に立ちません。ということは、4歳から8歳までの間が、習い事の好機なのです。
とはいえ、その子にあったスポーツは何か、なかなか見つけられないもの。「え~、どんな習い事をさせたらいいの!?」と迷ったら、ぜひダンスをお試しください。
ダンスは、あらゆるスポーツに使える身体能力を生み出し、音楽とからだを寄り添わせる体験をもたらします。将来どのようなスポーツに転じていっても、あるいは楽器演奏に興味を転じても、使える基礎力になります。
運動センスにタイムリミットがあるのは脳科学上の事実。もちろん、裏山やビルの谷間で遊びまわっているだけでも十分に小脳は発達しますが、「うちの子、家にいるのが多くて」とか「プラス1のセンスをあげたい」と思うのなら、迷っている暇はないかも。
子どもたちに、ぜひ、ダンス体験を。 |
感性アナリスト/脳科学コメンテイター/人工知能研究者
黒川伊保子さん
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